映画「海街diary」のカレーのシーンについて語ってみる(食ネタバレあり?)
今日はなんとなくダラダラ過ごしてしまった土曜日でしたが、テレビでやってた映画「海街diary」がよかったです。
家族とか恋愛とか、生きること死ぬことを何となく考えさせられ、でも決して重い空気ではなく、明るく綺麗な描写に包まれて、
観た後に心の毒がすっと抜けてしまったような、なんとも爽やかな感動がありました。
まあ、映画の感想やあらすじなんかを書くのは苦手なので詳しくは他のコンテンツに任せますが、
このブログではやっぱりカレーを軸に語ってみたいと思います。
この映画では中盤にカレーが出てくるシーンが2回あります。
1回目は、綾瀬はるかの演じる長女幸と、広瀬すず演じる主人公で異母妹のすず(同じ名前ですね)が、カレーを作りながら二人で台所に立つシーン。
三姉妹を残し家を出て行った母親から唯一、幸が教わったカレーがシーフードカレーでした。
肉と違って煮込まなくていいところが料理嫌いな母らしいと、不仲である母への皮肉めいたセリフをすずに対して言いますが、
それでも唯一の母親の味であるシーフードカレーが好きなんだろうなという気持ちが伝わってきます。
ここでは幸とすずが台所に立つ場面と、長澤まさみ演じる次女の佳乃と、夏帆演じる三女の千佳が具材を買いに行く場面だけで、食事のシーンはありませんが、それは次のシーンの伏線となっています。
2回目は夏の昼下がり、何かの用事があって長女の幸と次女の佳乃がおらず、
三女の千佳とすずだけが家にいて、千佳がカレーを作り、すずが洗濯物を干しているシーンです。
カレーが出来上がり二人で食卓について、すずが「おいしい!」と喜びます。
その時に千佳が作ったカレーは、「ちくわカレー」
これは一番出て行った母親といた期間が短く、その後しばらく面倒を見てくれていた祖母がよく作っていたカレーとのことです。
上の二人の姉には不評だったこのカレーが、千佳にとっては好きなカレーだったのです。
そしてそのシーンを受けて、すずは千佳に皆んなにひとつ嘘をついていたことを告白します。
それはすずが姉妹の家に来てしらす丼を食べた時のこと、
その時に初めて食べたと言いましたが、実は鎌倉にいた父がしらす丼やしらすトーストを作ってくれていたのです。
でも、父は三姉妹の家庭を壊してしまったという思いから、父の話を出してはならないと思っていたすずが気を使ってそれを最初に言えなかったのです。
すずにも父との思い出の味があり、それを思い出させてくれたのが、この三姉妹が作った2つのカレーでした。
国民食であるカレーをそのきっかけにすることで、共感を得られるような演出ではないでしょうか。
この作品には食を通して、人と人とのつながりを感じさせるシーンが数多くあります。
小さい頃から皆んなが行きつけの食堂で出てくるアジフライやアジの南蛮漬け、
鎌倉という舞台なので当然出てくる、しらす丼やしらすトースト、
長女の幸が恋人(不倫相手だけど)に作るポテトサラダ、
姉妹の住む家で取れる梅を使って、亡くなった祖母が昔から作ってきた梅酒。
そういった食事を作る人がいて、食べる人がいる。
生きることや死ぬことも、この映画のテーマのひとつだと思いますが、
その中心にあるのが、やはり食。
まあ、衣食住すべてで人とのつながりは描かれている作品ではありますので、僕がカレーに注目しているだけかもしれませんが、
とりわけ食に関しての描写が多かったように思います。
生きるためには食べなければなりません。一般的には1日3食。
それだけ身近で回数も多い行為なので、そこには人間ドラマが生まれることもあるでしょう。
まさにそんな食と人とのつながりを考えさせられた映画でした。
このブログで紹介しているのはレトルトカレーばかりですので、人とのつながりは薄いと思うかもしれません。
けれど、ひとつひとつの商品には必ず作り手がいて、地元の人たちが、
自分たちの育てた作物を美味しく食べて欲しいと工夫を凝らして作っているものばかりでしょう。
そして、美味いカレーに出会うと、いろんな地域の人とつながることができた気持ちにもなるのです。
今までそんな風に食を意識したことがありませんでしたが、
ご当地カレーにハマることで、そういう意識も生まれ、映画の見かた一つも変わるようになりました。
やっぱり生きることは食べるということ、そしてカレーという食べ物に出会えてよかったなと思います。
そんなわけで海街diary、ご覧になった方もまだの方も、
カレーをはじめ、いろいろな食のシーンに注目して観てみてはいかがでしょうか。
また新たな発見や感動があるかもしれませんよ。
あ、一つだけツッコミは、ちくわカレーも広義にはシーフードだよね(笑)。